SNSを見ていると、AIを紹介する人々が驚くほど多く存在します。
さらに、毎日のように新たなAIツールが発表されたり進化を遂げたりしており、そのたびにそれについて投稿している人もいます。
ただし、中には必要以上に驚いている人(AI驚き屋・・)や、明らかに自分ではたいして使っていない”情報商材屋”もおり、情報の取捨選択もなかなか難しいところです。
特にエンジニアではない方には無縁の情報も多く、そのような大量の玉石混交の情報の中から、自分に役立つツールを見つけ出すのは至難の業ではないでしょうか。
そこで今回は、エンジニアでない人でもぜひ使ってほしいおすすめのAIツールとして、「ChatGPT」「GenSpark」「NotebookLM」の3つをご紹介します。それぞれの特徴について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
AIツールに詳しい方の中には、「そのツールを紹介するなら、こっちの方が良いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、ツールの優劣は日々変化している状況ですし、私自身、そこまで徹底的に比較検討しているわけではありません。ここでは、あくまで私がそれなりに使い込んでいるツールとして、この3つをご紹介させていただいています。(てかXでツール表とか作ってポストしてる人、本当にそんなに大量のツールを使い込んでる?)
もくじ
Toggle1. ChatGPT
ChatGPTは、OpenAIが開発したAIチャットボットです。
これは非エンジニアの方でも使ってらっしゃる方が多いのではないでしょうか?
ただ使い方を見ると、どうもただ単にジョークや大喜利で遊んでいる人が多いような気がします・・
そこでここでは私が使っている中で非常に有意義だと思う使い方を2例ほど紹介します。(※エンジニアとしてはコード生成など非常に使えるのですが、今回は非エンジニアにも使えるものを紹介します。)
先生として使う。
ChatGPTは、勉強の先生として非常に優秀です。
私がよく使用するおすすめのプロンプトは以下のようなものです。
あなたは〇〇の先生です。〇〇についてステップバイステップで生徒の私と対話しながら基本的なことから教えてください。
以下は、ChatGPTに線形代数の先生になってもらった例です。ベクトルの説明から始まり、計算問題を次々に出題されました(笑)。
計算問題ばかりで飽きたので、「これって何に役立つの?」と聞いてみました。
すると、それなりにしっかりとした答えが返ってきました。
一度に「概要を教えて」や「説明して」と要求するよりも、対話形式で進めるようにしたほうが、理解が深まります。
いわゆる「知識」を問う問題では、ハルシネーション(嘘を言う)が発生する確率が高くなりますが、数学や語学の学習にはかなり有用な印象です。
エンジニア以外の方向けの記事なので例で挙げてませんが私が最も有用だと思う使い方は、プログラミング言語の学習です。ステップバイステップで出力されたコードを自分で試しながら進められるので非常に有用です。
文章を校正してもらう。
校正の目的でChatGPTを使用している方は、かなり多いのではないでしょうか。
一から文章を生成することもできますが、やはり自分の文章ではないため、最終的には気に入らず跡形もなく修正してしまうことが多いです。しかし、校正であれば元の文章は自分のものなので、雰囲気を壊さずに修正が可能です。
実は、この文章の冒頭も校正してもらいました。
指示すれば、差分も示してくれるので、非常に便利です。(ちなみに校正を全部は受け入れてません。情報商材屋は情報商材屋やろ笑)
GenSpark
GenSparkは、これまでの検索エンジンに代わる新しいAIツールとして注目されています。自動で様々な角度から情報を検索してまとめてくれるので、効率よく情報収集ができます。
多面的な情報収集・整理
GenSparkは、特定のトピックについて複数の視点から情報を集めて整理してくれます。偏った情報ではなく、バランスの取れた包括的な情報を得られるのが魅力的です。
タイムリーなところで「自民党の総裁が誰になったか」を聞いてみます。
まず、最初の「AIによる直接回答」ではAIがいくつかのページを収集してそれをまとめて、情報源のリンク(文の終わりの数字)も付けてくれます。
Sparkpage
Sparkpageは検索した結果のまとめを記載したページです。
「AIによる直接回答」のさらに下に行くと「自民党の総裁選に石破茂氏が選出」という見出しいが表示されており、クリックすると以下のようなSparkpageに遷移します。
このページはブックマークボタンで保存しておくことができ、さらに共有ボタンでリンクを共有することもできます。(googleへのログインが必要)
ファクトチェック
さらにまとめた情報をファクトチェックすることができます。
このファクトチェックではさらに広範囲に情報を検索・分析します。この処理はバックグラウンドで実行されて完了するとメールで知らせてくれます。(だいたい数分後)
メールにはリンクが付いており、そのリンクをクリックするとファクトチェックの結果を記載したページに遷移します。ここには、どれだけの情報源を参照したか、信頼できる情報源だったかなども記載されています。
NotebookLM
NotebookLMは、指定した動画やウェブサイトのURL、またはアップロードした文章をもとにして、その内容についての質問に答えてくれるAIツールです。元の資料にない情報は答えないので、ハルシネーション(AIがデタラメな情報を作り出すこと)が起きにくいです。
NotebookLMの使用はgoogleアカウントへのログインが必須です。
ログイン後にノートブックを追加してそのノートブックごとに必要な情報を追加します。(参考までに私の画面を載せます。)
論文や動画の要約
NotebookLMを使用していて特に役立つと感じるのは、論文や動画の要約機能です。
専門的な論文や長い動画を全て確認するのは大変ですが、NotebookLMを使えば、重要なポイントを簡潔にまとめてくれるため、効率よく内容を把握できます。また、特定のポイントについて詳しく質問することも可能です。
特に最近、YouTubeのリンクを貼り付けて動画を要約できるようになったことは非常に便利です。今回は、試しに以下の英語のYouTube動画「6 Levels of Thinking Every Student MUST Master」を要約してみましょう。
(引用元:6 Levels of Thinking Every Student MUST Master(Justin Sung))
この動画をNotebookLMに読み込ませて「要約してください」と入力します。
結果は以下のようになり、非常にうまくまとまっています。
このビデオでは、あらゆる学生が習得すべき6つの思考レベルについて説明し、各レベルがどのように異なるレベルの結果につながるかを探っています。
- レベル1:覚える このレベルは、丸暗記と繰り返しに重点を置いています。レベル1の思考は、「復唱する」というレベル1の結果につながります。これは、事実をリストアップしたり、定義したり、述べたりすることを含みます。
- レベル2:理解する このレベルでは、学習内容を真に理解しようとします。レベル2の思考では、「説明する」というレベル2の結果が得られます。これにより、概念やプロセスに関する理解を説明する必要がある質問に答えることができます。
- レベル3:適用する このレベルでは、学んだことを使って問題を解決します。レベル3の思考では、「単純な問題解決」というレベル3の結果が得られます。これは、学んだ1つの概念を使用して解決できる、1対1の問題を解決できることを意味します。
- レベル4:分析する このレベルでは、情報を比較対照し、類似点と相違点を調べます。レベル4の思考では、「比較する」というレベル4の結果が得られます。これは、概念を相互に関連付けて比較する必要がある質問に答えることができることを意味します。
- レベル5:評価する このレベルでは、情報がなぜ重要なのか、どのように他の情報と適合するのかを自問します。レベル5の思考は、「優先順位を付ける」というレベル5の結果につながります。これは、結論を導き出し、それを正当化する必要がある質問に答えることができることを意味します。
- レベル6:作成する このレベルでは、すでに知っていることから新しい情報を統合し、仮説を立てます。レベル6の思考は、「仮説を立てる」というレベル6の結果につながります。
ビデオでは、レベル5とレベル6に到達するには2つの方法があると述べられています。
- 1つ目の方法は、レベル1から始めて、各レベルを順番に上っていくことです。しかし、この方法は非常に時間がかかり、ほとんどの人にとっては現実的ではありません。
- 2つ目の方法は、レベル5から始めて、下に向かっていくことです。この方法は、脳がレベル5で情報を処理し、記憶を形成する方が、レベル1よりも強力であるため、効果的です。
ビデオでは、学習を開始するときは、記憶したり理解したりすることに集中するのではなく、評価することに集中することを推奨しています。これは、そもそも理解し、分析することを強制されるからです。
収集した情報を活用
最近、私が便利だと感じた使い方の一つは、プロンプトエンジニアリングのテクニックについて解説しているページや動画を片っ端から検索し、登録した上で、実際にプロンプトを改善してもらうことです。
例えば、『「シューティングゲームを作成してください」というプロンプトを、プロンプトエンジニアリングの手法に基づいて、より良いプロンプトに修正してください。』と入力した際の回答は以下の通りです。
「シューティングゲームを作成してください」指示の改善
「シューティングゲームを作成してください」という指示は、AI にとって漠然としすぎています。より良い結果を得るには、ゲームの内容を具体的に指示する必要があります。以下に、プロンプトエンジニアリングを用いた具体的な指示の例を、段階的に示します。
段階1:詳細な指示と出力形式の追加
- **指示:**以下の条件に沿って、シューティングゲームの企画書を作成してください。
- **ゲームジャンル:**横スクロールシューティングゲーム
- **舞台:**近未来の地球
- **主人公:**最新鋭の戦闘機を操縦するパイロット
- **敵:**謎の侵略者
- ゲームの特徴:多彩な武器
- 魅力的なボスキャラ
- 美麗なグラフィック
- 出力形式:ゲームの概要
- ストーリー
- キャラクター設定
- ステージ構成
- ゲームシステム
この段階では、ゲームの基本的な情報を AI に提供しています。[1, 2] にあるように、AI には明確な指示と具体的な例を与えることが重要です。
段階2:さらに具体的な要素の追加
- **ストーリー:**20XX年、突如地球に現れた謎の侵略者によって人類は滅亡の危機に瀕していた。主人公は、最後の希望を託され、最新鋭の戦闘機に乗り込み、敵の母艦を目指す。
- キャラクター設定:主人公:経験豊富なエースパイロット。勇敢で、仲間思い。
- ヒロイン:主人公の幼馴染で、優れた科学者。侵略者の謎を解き明かす。
- ボスキャラ:侵略者の司令官。冷酷で残忍な性格。
- ステージ構成:ステージ1:侵略者の艦隊との戦闘
- ステージ2:破壊された都市での戦闘
- ステージ3:敵母艦内部への侵入
- ゲームシステム:2種類の武器を使い分け
- 敵を倒すと出現するアイテムを取得
- ステージクリアごとに新しい武器を入手
この段階では、ストーリー、キャラクター、ステージ構成、ゲームシステムなど、より具体的な要素を追加することで、AI があなたの望むゲームを理解しやすくなります。[1, 2] のように、簡潔な指示を心がけながら、適切な言葉を使って表現することが重要です。
段階3:追加の指示
- **参考ゲーム:**このゲームは、「R-TYPE」や「グラディウス」のような、歯応えのあるシューティングゲームをイメージしています。[1]
- その他:ゲームバランスを考慮してください。
- プレイヤーを飽きさせない工夫を取り入れてください。
- 魅力的な音楽や効果音についても言及してください。
この段階では、既存のゲームを参考にしたり、ゲームバランス、プレイヤーへの配慮など、より具体的な指示を加えることで、AI が生成する企画書の質を高めることができます。[2, 3] にあるように、AI には役割を与え、出力の形式を指定することで、より効果的に情報を伝えることができます。
これらの段階を経て、プロンプトを改良することで、AI はより具体的で質の高いシューティングゲームの企画書を作成することができるようになります。
このプロンプトを最初の入力として実際に試したところ、以前やった時よりもかなり早い段階でそれなりに動作するものができました。(それなりに見栄えがあるものは5回程度のやりとりでできました。)
まとめ
今回ご紹介した「ChatGPT」「GenSpark」「NotebookLM」は、特にエンジニアでない方でも使いやすく、効果的なツールです。
私の場合は、世界的に共通認識されているような知識を問う場合や、直接的な知識ではなく何かを生み出す問題に対してはChatGPTを使用し、知識を調べたいけれど情報源がわからない場合はGenSpark、情報源はわかっているけど膨大な量であったり、外国語の情報が対象となる場合はNotebookLMを使うといった具合に使い分けをしています。
これらのツールを活用すれば、情報収集や学習、仕事の効率向上など、多くのメリットが得られます。AIツールを初めて使う方でも、直感的に操作できるデザインなので、すぐに使い始められると思います。
「AIは自分には関係ない」と思っている方も、ぜひこの3つのツールだけでも試してみてはいかがでしょうか。